「世界99」上巻
ご覧いただきありがとうございます
図書館に予約したものの、セットを間違えて下巻から読んでしまった「世界99」の上巻を読みました。
下巻を読んで結末はわかっているけど、本当に村田沙耶香氏はディストピア小説すごいと思った。
主人公が、感情を持たないみたいな表現もさることながら、生きていく上で「会社に使われるか、家族(夫)に使われるか」とか、身もふたもない話が進んでいく。
とはいえ、これは現代社会の縮図でもあり、特に男性が女性を扱うやり方っていうのも極端かもしれないけど、かなりあるあるだな~って気がする。
田房永子氏も、同様のことをエッセイで書いているが、女児や若い女性に対しての性被害を、大人はなかったことにしたり、たいしたことないと片づけようとする。
最近でこそ「me too」でいくらか変化があったのかもしれないけど、無力な者を男性が暴力でねじふせるっていうのは本当にたちがわるい。
加害者が加害者性を意識するのは、自分が被害者であったことを認めることからみたいな文も読んだ気がするんだが、個人的な生育歴とともに、「自分を食わせる」というしばりがあるわけだから、とかとにかく何気なく流してしまうことがクローズアップされていて怖いくらいです。