映画「バービー」感想

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映画「バービー」を配信で見ました。
女性が差別されることのないバービーランドから、人間の世界へやってくるバービー&ケンは、人間社会ではもっぱら男性優位であることを知ります。
ケンは喜び、バービーはショックを受けるわけですが、冒険の末、バービーも生き方を変えることに。

ここのところ、「世界99」を読んだり、また三宅香帆氏の評論で「産む性」のしばりについて考えさせられたので、続けて「バービー」も女性の生き方を描いているということで見てみたわけです。
「バービー」はむしろ「お母さん」になることは大変だけど否定してはいなかった。
完全に否定するっていうのも難しいことではあるが、あまりにも産むことを強制されるかのような空気はたまらないだろうと思う。
思う、っていうのは、時代もかかわっていると思うので、ある程度の学歴とキャリアがあるなら経済的自立ができて選択の自由もあるが、それがなかったら、「世界99」の「人間家電として使われる道(結婚)」を選ぶっていうのがまたシビアである。

結婚にはそういう意味合いがないとは言い切れないが、今どきは世知辛い世の中で男性も高給をとって奥様を養うっていう雰囲気でもないし。
それに、「養われる」と「世界99」の主人公のように「媚びる」という卑屈な姿勢も出てくる。
これは主人公が卑屈なわけではなく、ほかの登場人物が立場が変わったときにやはり媚びたり卑屈になる場面があるので(逆に養う立場になった主人公が強気になる)、金が介在して養う養われるっていう形は平等にはなれないのかなと思う。
よほど養う立場の人が自覚していない限りは難しそうだ。
女性も仕事をするのが当たり前の現代、そこまで卑屈にはなる必要がないのかもだけど、給料の差はあるだろうし、「世界99」の主人公夫婦に子供はいないけど、子供が「養われる」ということで卑屈になるようなことだと問題である。

金銭的にもだけど、主人公は特に「母親」が搾取されているという状況も感じていて、母親は「人間家電」として疲れ切っている。
そういう中で家族の世話をする(ほかの人のために生きる)ことにも疲れ切っている。
だから、主人公の両親ともに疲れ切っている。
養う立場の男性は仕事の道具として会社で使われているから疲れ切っている。

子供がいるからがんばれるっていう面もあるとは思うけど、ほんと相当自覚的じゃないと恨み言をいいかねないよな。
それが女性に負担を押し付ける構造に起因しているという物語が多いわけですし、それもまた時代が変わって女性が分析し表現できるようになったのはとてもいいことだと思います。

「バービー」ではミュージカルみたいなシーンが多くて笑えるし、ケンを演じるライアン・ゴズリングがおもしろかった。

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Posted by koneko